監修:医療法人社団 新光会 不知火クリニック 副院長
産業医科大学 名誉教授
中村 純 先生
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息子のうつ病の症状がよくなったので、そろそろ薬の服用をやめさせたいのですが。
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うつ病治療のゴールは、ある程度症状がやわらぐということではなく、例えば仕事に復帰にするなどうつ病になる前の状態と生活をとり戻すことです。
初めてうつ病になった方の場合では、症状がよくなってもおよそ半年間は薬の服用を続ける必要があります。また、うつ病で使用される抗うつ薬に依存性や常習性などはありませんので、医師の指示にしたがって服薬のサポートを続けてください。
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うつ病が治って復職した友人にはどのように接したらよいのでしょうか?
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大切なことは、友人の話をよく聞いて、気持ちに共感してあげることです。
また、希望を与える言葉をかけてあげてください。
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夫のうつ病治療が長びき、疲れています。
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うつ病からの回復までにはある程度の時間がかかります。
少しよくなっては、少し悪くなることを繰り返しながら、徐々によくなっていきます。ゆっくりと回復することを、ご家族もよく理解し、焦らず、腰をすえて落ち着いて構えていると、患者さんの病状にもよい影響を与え、順調に回復する手助けになります。
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うつ病を再発した家族にはどのように接したらよいのでしょうか?
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うつ病はよくなったり、また少し悪くなったりを繰り返し、ゆっくり回復してくる病気です。
再発時には患者さんにも焦る気持ちがあります。その気持ちを察してあげてください。また、少しでもよい変化に気づいたら、ほめたり、一緒に喜んだりする言葉をかけてあげてください。
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父がうつ病を患っていますが、うつ病は遺伝するのでしょうか?
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うつ病の方の子供が必ずうつ病になるという事はありません。しかし、親子では性格が似ていることも多く、うつ病になりやすい傾向があることが知られています。
家系にうつ病の方が多くても、物事のとらえ方をうつ病になりにくいように変えていったり、ストレスをため込まない生活をこころがけることによって十分に予防することができます。
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娘のうつ病の症状は落ち着いていますが、通院は続けたほうがよいのでしょうか?
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うつ病治療の目標は、「ある程度の治療効果が得られること」ではなく、「その患者さんに応じた生活を取り戻すこと」です。
うつ病は、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に回復していく病気です。うつ病の経過には波がありますので、症状が落ち着いていると感じても、医師の指示にしたがって通院することや、くすりを継続して飲むことが大切です。
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家族がうつ病のような気がします。うつ病のサインを知りたいのですが。
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うつ病の症状は、こころとからだの両方にあらわれます。日常生活の中のうつ病のサインは、うつ病の症状のページを参考にしてください。
また、からだの症状は、こころの症状に比べるとわかりやすいものですが、うつ病が原因で、からだの症状が起きていることもあります。サインが2週間以上続けて感じているときは、医師に相談することを提案してみましょう。
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友人のうつ病が悪化しているのですが、どう接してよいかわかりません。
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「がんばりたいのに、がんばれない」という状態の患者さんに、「がんばれ」とはげますのは、患者さんを責めたり追いつめたりすることにつながるので控えましょう。
「自分はダメだ」などの悲観的な状態にある場合には「そんなことはない」など、患者さんの発言を否定するような言葉よりも、「つらいよね」など、患者さんに共感するような言葉をかけてあげるのが良いでしょう。「今はつらいけど、ずっと続くことはない、必ずよくなる」というような希望を与える言葉をかけてあげてください。
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家族が悩みを相談してもよいのでしょうか。また、家族だけでの面談もできるのでしょうか?
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ご家族に何か悩みごとがある場合、ご家族だけで医師に相談してもかまいません。
うつ病では家族や周りのサポートも大切ですので、ご家族の悩みや困っていることを医師に相談し、解決していくことが患者さんの治療の一環になることもあります。
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うつ病に悩んでいる友人にどう言葉をかけたらよいのでしょうか?
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患者さんが悲観的な発言をしたならば、その発言を否定するような言葉はさけ、つらさを理解し、共感する態度が重要です。
患者さんは「がんばらないといけないのに、がんばれない自分が情けない」と罪悪感を抱いていることが少なくありません。周囲の方からのはげましの言葉は、かえって患者さんの負担になることがあるのでさけたほうがよいでしょう。
また、希望を失わないように、少しでもよい変化があれば、それを評価することがはげましになります。
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母がうつ病だと思うのですが、受診を拒んでいます。
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うつ病の患者さんは、「気のもちよう」ですぐに治ると思ってしまう人が少なくありません。そのため、「自分は病気ではないのだから、病院に行く必要はない」と思い込み、そのままズルズルと悪化させてしまうことがあります。
もしも、ご家族からみて、様子のおかしいことがしばらく続いていたり、何日も落ち込んでいるような場合は、うつ病の可能性をやさしく説明してあげてください。そして、「気のもちよう」ではうつ病は決して治らないこと、きちんとした治療を受ける必要があることを理解してもらってください。一緒に病院に行くなど、気持ちと行動に寄り添ってあげることが大切です。