監修:名古屋大学大学院 医学系研究科
精神医学・親と子どもの心療学分野 教授
尾崎 紀夫 先生
うつ病の症状がもっとも重くつらい時期(急性期)は可能な範囲で病院に付き添ってあげてください。そして、ご家族からみた患者さんの様子を医師に伝えてください。身近にいるご家族だからこそできるサポートです。
患者さんは病気のためにものの見方が極端になっているため、実際よりも悪く自分の状態や周りの状況をとらえがちです。例えば、治療をはじめてしばらくして、医師が「眠れるようになりましたか?」と聞いたとき、患者さんは「まったく眠れずに苦しいです」と答えるかもしれません。しかし、実際には、治療をはじめたころに比べればずいぶんと眠れるようになっていたり、朝早く目覚めてしまうことも減っていることもあります。ところが、うつ病のときはダメな点を強く感じてしまうため、実際はダメではないこともすべてダメに思えてしまいます。ですから、患者さんは眠れるようになったことよりも、眠れなかったときのことが気になって仕方がないのです。
医師は、ご家族から客観的な情報を得ることで、くすりが効いているか、くすりの量は適切であるかを判断することができます。