監修:名古屋大学大学院 医学系研究科
精神医学・親と子どもの心療学分野 教授
尾崎 紀夫 先生
うつ病は再発の可能性がある病気だということも、ご家族には知っておいていただきたい点です。
はじめてうつ病を経験した患者さんのうち、約半数はうつ病を再発するともいわれています。そして、2回目、3回目と再発を繰り返すうちに、うつ病の再発の可能性は高くなっていきます。また、不十分な治療では、そのあとの再発の可能性が高くなるともいわれています。したがって、うつ病はできるかぎり1回目の治療できちんと治すことが大切になります。また、症状が改善されてからも、よくなった状態を維持するために続けて治療を行うことが大切です。
また、うつ病を再発させないためには、うつ病を引き起こしやすくしている患者さんのものの見方を調整していく必要があります。そのため、問題をひとりで抱え込むことで調子が悪くなり、誰かに頼ることで調子を維持できることを実感してもらう必要があります。
この他、ご家族や職場の同僚、上司などに相談したり、頼ることの重要性を確認してもらいます。例えば、「子供の学校のことでいろいろ悩みが多く、育児と家事の両立が負担だ」という奥さんには、「ひとりで全部やろうと思わずに、週末の食事は外食にする」など、誰かに頼れる部分は頼るようにしていきます。患者さんは、他人には頼れなくても、ご家族になら頼ってみようという気持ちになれるため、家族は患者さんのものの見方を調整していく治療でも、重要な役割があります。