監修:医療法人社団 新光会 不知火クリニック 副院長
産業医科大学 名誉教授
中村 純 先生
患者さんはうつ病の治療をしようと決意するまで、不安からどうしても迷ったり二の足を踏んだりするものです。あなたがそばにいて、安心して受診できるようにサポートしてあげてください。
病院にはできるだけ付き添って
ご家族の方が患者さんと一緒に病院へ行くことには、大きく2つの意味があります。1つは、患者さんは病気のために起こっている症状について、うまく医師に相談できないこともありますので、日頃の暮らしぶり、生活への支障などについてあなたから医師に話してください。もう1つは治療の内容と期間を医師からきちんと説明を受けて、あなたが理解することです。治療をスムーズに進めるうえで、ご家族の正しい理解が何よりも大切になります。
病院で医師に伝えること
- いつ頃から不調があらわれたか
- 不調があらわれる前に、環境の変化などはなかったか
- 患者さんの様子がおかしいと思うのはどんなことか
- 平日の様子で気になるのはどんなことか
- 週末の様子で気になるのはどんなことか
- 食欲と睡眠は普段と比べてどうか
- 家族の中で、これまでうつ病にかかった人がいるか
- 現在、何かくすりを飲んでいないか
医師に聞くこと
- 治療の流れ
- 治療の見通し
- 休職の必要性
- くすりを飲みはじめたときに注意すること
患者さんが、いってほしいこと・してほしいこと
患者さんは、うつ病のために些細なことで怒ったり、返事をしてくれないこともあります。周囲の人ははれものにさわるように接触を避けてしまいがちですが、本人は実際には孤独感におそわれています。たとえ拒絶の反応をみせても、内心では家族からの働きかけを待っています。
- 普段通りに接してほしい
- 寛容な態度をとってほしい
- 静かに見守っていてほしい
- 話を聞いてほしい
- 今のままを受け入れてほしい
- 私の病気を恥と思わないでほしい
- 理解しようとしてほしい
- そばにいてくれるだけでいい
- 病気のことを一緒に勉強してほしい
患者さんが、いってほしくないこと・してほしくないこと
患者さんの話を聞いたり落ち込んだ様子を身近でみていると、どうしても「がんばれ!」とはげましたくなるのが人情ですが、患者さんは、がんばりたいのにがんばれない状態なのです。また気力や体力も落ちていますので、無理やりスポーツやからだを動かすことをすすめるのもかえって逆効果になることもあります。
- がんばれといわないでほしい
- 同情しないでほしい
- 何をやっているんだと責めないでほしい
- 何かするようにはげまさないでほしい
- 原因は何かと聞かないでほしい
- おきざりにしないでほしい
- なまけ者と決めつけないでほしい
- 家族同士で責めあわないでほしい