監修:名古屋大学大学院 医学系研究科
精神医学・親と子どもの心療学分野 教授
尾崎 紀夫 先生
うつ病では、眠れないことがあったり、午前中に抑うつ気分が強く、午後から夕方にかけて軽くなってくる“日内変動”という波が起こるため、昼夜が逆転してしまう生活パターンになることがあります。症状がもっとも重くつらい時期はこころの休息を最優先にして、「寝たいときに寝て、起きたいときに起きる」、「患者さんが一番楽と思えるやり方で過ごす」ことを目標にしていたため、生活パターンが乱れてしまうこともあります。
しかし、症状が安定してきたら、少しずつ朝は布団から出て太陽の光をあびる、昼間は散歩に出るなどして活動を増やしてみる、そして夜も遅くまで起きていないようにする、というように睡眠と覚醒のリズムを整えていきます。
まずは、睡眠のリズムを整えることからサポートしてあげてください。とりあえず朝ベッドから離れてもらい、パジャマから普段着へと着替えてもらうことでリズムをつくります。そのときに「疲れたらいつでも横になっていいよ」と一言かけてあげると、患者さんも気分を悪くすることはありません。また、いきなり朝早くに起こしはじめるのではなく、起こす時間を毎日1時間ずつ早めていけば、やがて家族と同じ時間に起きられるようになります。
社会に復帰するうえでも、くすりを規則正しく飲む習慣をつくるためにも、生活のリズムを一定にすることは大切です。
上記の症状の他にも気になる症状があらわれた場合は、医師または薬剤師にご相談ください。