監修:医療法人社団 新光会 不知火クリニック 副院長
産業医科大学 名誉教授
中村 純 先生
うつ病も他の病気と同じように、治療せずに放っておくと徐々に悪化していきます。ですから、症状が軽いうちにうつ病に気づき、治療をはじめることが大切です。
気分の落ち込みがあらわれる少し前に、生活の中で楽しみを感じなくなった、何をしてもおもしろくない、日常生活のさまざまなことに興味を失った、集中力がなくなってきた、物事の決断ができなくなったなどの症状のきざしがあらわれることがあります。
うつ病が進行すると、日常生活にもさまざまな支障をきたすようになります。
例えば・・・
「スーパーに買い物に行っても、何を買ったらよいのか決められない」
「パソコンの電源を入れるのが面倒でいやだ」
「掃除、洗濯、料理をするのが億劫だ」
「部下からの書類に判を押してもよいのか決められない」
「さびしくて誰かにそばにいてほしい」
など、仕事や家事の能率も上がりません。
ひどくなると、動作が鈍くなり、ゆっくりとした動きになったり、逆に強い不安、焦燥感からイライラと足踏みをしたり、ソワソワと落ち着きなく動き回ったりすることもあります。仕事の能率が上がらないのは自分のせいだと自分を責め、さらに落ち込みます。
その結果、自分に自信をなくして仕事をやめてしまったり、ひとりになりたいために離婚してしまったりします。もっと悪い状態になると、うつ病の症状によるつらさから、いっそこのまま消えてしまいたい、死にたいと思うほど追いつめられてしまうこともあります。
これを希死念慮といいます。
- 何もやる気が起きない
- 物事に集中できない
- 物事が決められない
- 疲れがとれない
- 性欲がなくなった
- 不安が続く、イライラする
- 将来のことが不安になる
- 昔のことをクヨクヨ悩む
- 物忘れが多くなった
- 寝られなかったり、朝早く目覚めてしまう(逆に眠り過ぎることもある)
- 食欲が落ちて体重が減る(増えることもある)
- 便秘
- 頭が重く感じる
- 動悸がする
- フラフラする
- 動きがゆっくりになる
- 常識を外れたことを考える
- 消えてしまいたいと思う
- ひとりぽっちだと感じる
- 人から離れていたい
- むなしい感じがする
- 生きていく希望がない
上記の症状の他にも気になる症状があらわれた場合は、医師または薬剤師にご相談ください。