治療をしっかり続けていくために、先生とコミュニケーションをとり、何に向かって治療をしていくのかを確認しましょう。
先生とのコミュニケーションはなぜ大切?
症状がよくなり、もとと同じような生活を送れるようになってくるこの時期になると、患者さんは「くすりはもう必要ないのでは」と思い治療をやめたくなることがあります。しかし、ご自身では「十分よくなった」と感じていても、もと通りの生活を送るにはまだ改善の度合いが足りないことがあります。また、うつ病は再発しやすく、しかも再発をくりかえすと治療が効きづらくなるため、うつ病になったとしても再発をしないということが非常に大切です。そこで、うつ病治療でもとのような生活が送れるようになってきたあともおくすりの服用を続け、そして、再発をしないように本当にもと通りに回復する必要があるのです。
ここで先生とのコミュニケーションが大切になるのは、うつ病患者さんと先生がコミュニケーションをとって治療のゴール(目標)を共有しておくことで、患者さんの治療への意欲や理解がより高まり、おくすりの服用を続けることにつながると考えられるからです。
うつ病治療の本当のゴールとは?
うつ病の治療ゴール、すなわち何を目指して治療を行うかは、患者さんひとりひとりで異なるでしょう。しかし多くの場合、症状がよくなるだけでなく、うつ病から回復してもと通りの生活に戻ることではないでしょうか。
そこで、具体的にどのような生活に戻りたいか、治療ゴールを先生と共有しておくとよいでしょう。それにより、同じ目標に向かって一緒に治療に取り組んでいけるようになることから、治療の進み具合や問題点、今後の見通しなどがわかりやすくなります。
また、治療ゴールは、治療が進むにしたがって変わることもありますので、どんな生活に戻りたいのかについて、治療の各段階で先生と話しあい再確認するとよいでしょう。
先生とのよりよいコミュニケーション
治療ゴールを共有するためには、患者さんご自身の気持ちをしっかり先生に伝えたり、逆に先生の話をよく聞いたり、コミュニケーションをとってお互いの考えをよく理解することが大切です。しかし、先生とどのようにコミュニケーションをとればよいのか、どんなことを話したらよいのか、迷われる方も多いと思います。また、「先生に悩みなど話してはいけないのでは」や、「こんなことを聞くのは恥ずかしい」などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのような患者さんの本音は、実は先生にとってとても貴重な情報です。先生は、患者さんの気持ちや考えを聞き、そこから、患者さんが今どのような状態にあるのかを判断したり、治療の方法を検討したりするからです。
治療ゴールについても、ご自身の考えや不安などを、率直に先生に話していただくとよいでしょう。
うまくコミュニケーションをとれない場合には
考えがまとまらなかったり、どうしても先生にうまく考えを伝えられなかったりする場合には、あらかじめ先生に聞きたいことをメモしておき、診察時に渡してはいかがでしょう。
本サイトに掲載している「わたしが、先生に聞きたいことリスト」には、うつ病患者さんの多くがもつ悩みや質問が、うつ病の治療段階ごとにまとめられています。このリストにチェックして先生に渡すと、聞きたいことがスムーズに伝わるでしょう。
また、診察時に家族の方に一緒に来院してもらうと、患者さんの様子や生活環境の状況について、家族の目からみた意見や説明をしてもらえるとともに、先生からの説明を客観的に聞いてもらえるので、よりコミュニケーションがスムーズにとれることがあります。